No.01 「音楽家インタビュー」

  ◆ Interview-No.001 オペラ歌手としてヨーロッパで大活躍の浦田典子さん <08月10日> 
 



オペラソプラノ歌手 浦田典子

国立音楽大学声楽科及び、大学院オペラ科卒業
パリ国立高等音楽院声楽科最高位卒業
マルセイユオペラ研修所修了
阿部富美子、岩崎由紀子、I・ギヨー、C・パタール各氏に師事

1997年日仏政府奨学生獲得/2000年マルモンド国際声楽コンクールオペラ部門にて審査員特別賞/2002年藤沢オペラコンクール入選/2005年クレモン・フェラン声楽コンクールモーツァルト賞授賞。

2001年レンヌ歌劇場にてブリテン作曲オペラ『アルバート・へリング』の女教師役でデビュー。 そのレパートリーは幅広くバロック音楽から現代音楽までこなす。宗教曲のソリストに始まり、これまでにモーツァルト作曲『フィガロの結婚』スザンナ役、ヴィヴァルディ作曲『試練の中の真実』ロクサナ役、ストラヴィンスキー作曲『マブラ』タイトルロール、モーツァルト作曲「魔笛」パミーナ役・侍女T役、ニコライ作曲『ウィンザーの陽気な女房たち』フルート夫人役、プッチーニ作曲『ラ・ボエーム』ミミ役など。つい先程行われたアンティーブフェスティバルではオペラ『蝶々夫人』タイトルロールを歌い大好評を得る。



Musique au coeur(ミュージックオークール)ご出演おめでとうございます。 録画の方はいかがでしたか?


今回6月に歌ったオペラ「蝶々夫人」のプロデューサーが音楽テレビ番組を持っている関係でお話しを頂いたんですよ。1日は歌のみの録画で、翌日は実は観客を交えての公開録画だったんです。スタジオというところは音響が人工的で、全く自分の声が聞こえず、かなり押して歌ってしまい、蝶々婦人のアリア「ある晴れた日に」1曲しか歌わなかったのに相当なエネルギーを消耗した気がします。

プロデューサーはEve Ruggieriさんですよね。番組を拝見しましたが、そんな感じには見えませんでしたから、そこはやはりプロらしいところですね。しかも、世界的テノール歌手 のロベルト・アラーニャ氏からも大絶賛されていましたね。 実際はどういうやりとりがあったんですか?

そうです、Ruggieriさんがプロデュースする夏のフェスティバルで6月にバタフライを 歌った関係で番組に呼んでもらいました。アラーニャ氏からは「je veux bien faire avec toi Butterfly. 君となら一緒にバタフライを競演したいなぁ」と言われ、舞い上がってしまい、「Avec grand plaisir!! 喜んで!」という言葉しか出てきませんでした。

「Quand 何時?」と切り返すべきでしたね。

本当ですね、あっという間のやり取りでしたが、番組放映後、フランス人達から、公約したんだから守らせろっていう メールが沢山届いて、私自身、びっくりしてしまいました。実は司会者のRuggieriさんまで 「アラーニャとのバタフライ企画しましょうね。」と後で言ってきたので、実現したらいいなあと秘かに願っているところです。

現在、他に競演したい方はいらっしゃいますか?

私は、パリで活動を始めて、ヨーロッパ各国、フランス各都市いろんな場所で歌っているのですが、 日本で公演した経験がないんですよ。 こちらでも日本人指揮者の方とは一度も競演をしたことがないので、ご一緒してみたいですね。 例えば、今年5月にパリ・ラムルー管弦楽団の指揮で来仏されていた佐渡裕さんとか、 ベルギー王立歌劇場(ブリュッセルのモネ劇場)で音楽監督の大野和士さんと競演してみたいです。 大野さんは2008年9月からリヨンに就任されると伺っていますので、是非、チャンスがあればいいなあと思っています。

最初は日仏政府奨学金でフランスに留学されたんですよね?その後、オペラ歌手でヨーロッパでスタートされて、どのような経緯でプロとして成功されたのですか?

そうです。留学を決めた時点で、フランスで何らかの形で成功させて、日本へ帰国したいという思いがありましたねえ。結局、こっちに住み着いてしまいましたけど。

パリ国立高等音楽院声楽科を卒業した頃、ヴィヴァルディ作曲・歌劇「la verita in cimento」ロクサナ役の、オーディションを受け、幸運にもフランス国内とイタリアで4ヶ月に及ぶツアー(計43公演)という大きな仕事 を頂きました。

初めての主役は2003年、フランス・オランダ・ベルギーでの野外歌劇場ツアー(計18公演)歌劇「フィガロの結婚」スザンナ役でしたが、これも400人が受けたオーディションの中から、選ばれたものです。

成功するかしないかは、実力と運だと思うんです。実力40%、運60%くらいだったりして。私は運が来た時に、上手く掴んできたかなと自分で思っています。

そしてやはり人との繋がりが自分を助けてくれます。そういう面では、コニュニケーションツールとして、フランス人の中で、ちゃんと自己主張できるように、フランス語も頑張って勉強してきました 。また年齢と共にコミュニケーションの大切さが分かってきて、言葉を選びながら話をするようになってきました。

自分でオーディションを受けたり、積極的に取り組んでこられたんですね。プロとして活躍されている中で大切な事って何ですか?

ちゃんと体調管理をして、例えどんな状態にあっても、苦悩を見せずに最後までやり遂げる事ですね。そして、アーティストとして、自尊心で歌うのではなく、聴いてくれるお客様と自分の耳が一致している事が一番大事です。

旦那様もバス・バリトンという同じ職業でいらっしゃいますが、ぶつかる事はないのでしょうか?

今まで、一度もないですね。逆に一番身近な相談相手で、歌のテクニックの話を二人でする事が多いです。第三者の耳で、評価してくれますし、同じアーティストだからこそ、分かってくれる苦悩の部分もありますから、そういう意味でも、同じ音楽家で、とても助かっています。今後、もし 音楽で喧嘩する事があれば、又、ご報告します(笑)。

今、浦田さんの一番好きな歌手はどなたですか?

マリア・カラスの声がとても好きなのですが、現在、活躍中の歌手の中で選ぶとすると、ロシアのアンナ・ネトレプコさんでしょうか。今、彼女は妊娠中で秋には出産予定と聞いていますが、36歳でとても綺麗な女性です。ベッリーニ作曲(ロミオとジュリエット) の「カプレーティとモンテッキ」を聴く機会があったのですが、会場で聴くとCDとは全然違う、とても綺麗な歌声でした。

浦田さんも男児ご出産おめでとうございます。産後すぐに、復帰しお仕事をされていますが、今までと気分的に変化はないですか?

ありがとうございます。ヨーロッパでは、同じ歌手の方達が、皆、子育てしながら、活躍されているので、特に違和感もなかったです。とても自然な感じで、仕事に対する気持ちの変化もありませんでした。今は、7月の仕事が終わったばかりで、少しのんびりとしています。8月はバカンス時期ですしね。これからの夢は沢山ありますけど、頑張って実現していきます。

Copy by Yoko KAMBE

◆オペラ
2006年 ベルギーZomeroperaフェスティバルにて、歌劇「ラ・ボエーム」のミミ役。指揮Koen Kesselt
2007年 イギリス・リーズを拠点としたオペラカンパニー”operanorth“にて6ヶ月間にわたり歌劇『魔笛』のパミーナ役(計21公演)。指揮paul McGrath
2008年 フランス・アンティーブのフェスティバル“musique au coeur”にて歌劇『蝶々夫人』蝶々さん役。
◆コンサート・リサイタル(ソプラノ・ソロ)
Jerome PILLEMENT指揮、ペルゴレージ作曲「スタバート・マーテル」ヴィヴァルディ作曲「ラウダムス・テ」
Antoine PALLOCピアノ伴奏にてリサイタル(ニース)、モンペリエにて「ベルカントの夕べ」出演
Noemi BIROピアノ伴奏にてブリュッセッル・モネ歌劇場「音楽との出会い」にてリサイタルその他様々なジョイントコンサートをフランス各都市(アヴィニョン・マルセイユ・パリなど)で行う。

 

 

 
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